ここでは,交通事故によりご家族を亡くされた場合に使える各種支援制度をいくつか紹介したいと思います。
第1 公的年金
1 遺族年金
亡くなられた方の加入していた年金の種別によって異なりますが,大きく分けて,遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
まず,国民年金に加入中の方が事故で亡くなったときは,亡くなられた方によって生計を維持されていた「18歳到達年度の末日までにある子(障がいのある子の場合は20歳未満)のいる配偶者」,又は「子」に,遺族基礎年金が支給されます。
また,厚生年金に加入中の方が事故で亡くなったときは,亡くなられた方によって生計を維持されていた遺族に,優先順位に応じて,遺族厚生年金が支給されます。優先順位は,優先度の高い者から順番に,配偶者又は子>父母>孫>祖父母となっています。なお,子のある妻又は子には,遺族基礎年金も併せて支給されます。
例えば,夫が会社員で,厚生年金に加入している状況で,事故によって亡くなった場合には,18歳未満の子どもがいる妻,又は子ども本人に,遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。
より詳細な,受給要件や支給開始時期,年金の計算方法をお知りになりたい場合には,日本年金機構のホームページをご覧ください。
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401- 03.html
2 労災年金
通勤途中(又は業務中)の交通事故によって亡くなった場合には,遺族に対し,遺族給付(又は遺族補償給付)が支給されます。
この遺族給付には,遺族年金(又は遺族補償年金)と遺族一時金(又は遺族補償一時金)の2種類があります。
まず,遺族年金は,亡くなられた方によって生計を維持されていた遺族に,優先順位に応じて,支給されます。優先順位は,優先度の高い者から順番に,配偶者>子>父母>孫>祖父母となっています。なお,妻以外の遺族については,一定の条件があります。
なお,遺族年金は,被害者が亡くなった日の翌日から5年を経過すると,時効により請求権が消滅してしまいますので,注意が必要です。
受給するためには,所轄の労働基準監督署長に,遺族年金支給請求書を,各種添付書類とともに提出する必要があります。
また,被害者が死亡した当時,上記遺族年金を受ける遺族がいない等の場合には,その他の遺族に遺族一時金が支給されることがあります。
詳細は,厚生労働省のホームページをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040325-7.html
第2 交通事故被害者の子どもを対象とした制度
1 独立行政法人自動車事故対策機構
・ 交通遺児等貸付制度
自動車事故によって保護者が死亡又は重度の後遺障害が残ることとなった家族の中学校卒業までの子どもは,自動車事故対策機構(通称NASVA[ナスバ])から,育成資金の無利子貸付を受けることができます。
詳しくは,NASVAのホームページをご覧ください
http://www.nasva.go.jp/sasaeru/koutu.html
2 公益財団法人交通遺児育英会
・ 奨学金貸与制度
保護者等が道路における交通事故で死亡又は著しい後遺障害のため働けなくなった家庭の高校生以上の生徒・学生は,交通遺児育英会から奨学金の貸与を受けることができます。詳しくは,交通遺児育英会のホームページをご覧ください。
http://www.kotsuiji.com/howto/
3 公益財団法人交通遺児等育成基金
・ 交通遺児育成基金
自動車事故で亡くなった被害者の子どもが、損害保険会社(組合)などから支払われる損害賠償金等の中から、拠出金を交通遺児等育成基金に払い込んで基金に加入すると、これに国や民間からの援助金を加えて安全・確実に運用し、子どもが満19歳に達するまで育成給付金の支給を受けることができます。
詳しくは、交通遺児等育成基金のホームページをご覧ください。
http://www.kotsuiji.or.jp/system/condition.html
・ 各種支援事業
義務教育終了前の交通遺児等(自動車事故により死亡した者の遺族である児童、自動車事故により重度後遺障害が残った者の子弟である児童)を有する家庭のうち、特に生活困窮度の高い家庭は、越年資金、入学支度金、進学等支援金、緊急時見舞金等の支給を受けることができます。
詳しくは、交通遺児等育成基金のホームページをご覧ください。
http://www.kotsuiji.or.jp/shien.html#riyoannai
4 一般財団法人道路厚生会
・ 交通遺児修学資金支援事業
東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社が管理する道路で発生した交通事故により亡くなった被害者の子どもで、経済的な理由から修学困難な高校生等に対し、返済の必要のない「修学資金」の給付を行っています。なお、この修学資金は、他の団体等から奨学金や一時金の貸付・給付を受けている場合でも、給付を受けることができます。
詳しくは、道路厚生会のホームページをご覧ください。